2025/10/28




「半年前に治療した右上奥歯に違和感がある」とご相談いただきました。
拝見したところ、右上奥歯(第2小臼歯)には保険診療の白い被せ物であるCADCAMが装着されていました。
レントゲン撮影をして検査すると、その手前の右上奥歯(第1小臼歯)には神経や血管が通る根管に清掃と消毒を行う根管治療が施されていました。しかし、歯の内部に細菌が侵入して炎症を起こし、歯根の先に膿が溜まる根尖病巣(こんせんびょうそう)を発症している状態です。
このまま放置すると、歯根の周辺組織にまで感染が広がって歯を支える骨が溶け、将来的に歯を失うリスクがあります。
以上のことから、右上奥歯(第1小臼歯)を早急に治療する必要があると診断しました。
患者様は「再発は避けたい。歯を温存してほしい」と希望されていたため、以下の治療方法を提案し、同意いただきました。
①歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて歯の内部に侵入した細菌を除去する「精密根管治療」を行う
メリット:肉眼で見えにくい部分まで確認しながら処置ができるため、保険診療の根管治療と比べて精度の高い治療が可能で、再び炎症が生じるリスクを軽減できる
デメリット:自費診療なので比較的費用がかかる
②セラミックの被せ物(セラミッククラウン)を装着する
メリット:天然歯のような色味を再現できる。経年劣化しにくく、虫歯の再発リスクが低い
デメリット:自費診療なので費用がかかる
まず、唾液に含まれる細菌や血が根管内に入るのを防ぐため、ラバーダム(ゴム製のシート)で患部周辺を覆って治療部位だけを露出させ、マイクロスコープで確認しながら感染部位を丁寧に除去します。
根管内が清潔になったことを確認したら、再び細菌が入り込まないようしっかりと薬を詰めました。
レントゲン撮影で根尖病巣の治癒を確認後、最終的な被せ物を作製するため、歯の形を整えてから型取りを行います。
後日、完成したセラミッククラウンを装着し、噛み合わせや見た目に問題がないかを確認して、治療を終了しました。
270,000円税別
再発なく良好です。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る場合があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です
30代女性 歯ぐきにできものができた歯に精密根管治療を行った症例
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