2025/09/09
「顎関節症を治して歯並びもきれいにしたい」とご相談いただきました。
拝見したところ、上下前歯の先端が直接ぶつかるように噛み合う切端咬合(せったんこうごう)が見られました。
本来の正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯を覆うように噛み合い、噛んだ際にはすべての歯にバランスよく力がかかります。しかし切端咬合の場合は、噛み合わせのバランスが崩れやすくなります。
患者様はその影響を受けて、あごの関節に痛みが出る顎関節症を引き起こしていると診断しました。
このまま放置すると顎関節症の悪化に加え、噛み合わせの負担によって歯の寿命が短くなるなどのリスクが懸念されます。
さらに左上前歯の先端が欠けていること、奥歯を中心に金属の詰め物や被せ物が多数装着されていることにより見た目にも影響が出ていました。
患者様はもともとホワイトニングのために通院されていましたが、噛み合わせがよくないことが原因で奥歯が割れたり銀歯が取れたりするトラブルが続き、その都度治療を繰り返しています。
以上のことから、噛み合わせの改善とともに審美性を回復する治療が必要と診断しました。
診断結果を丁寧に説明したうえで、ワイヤー矯正を行ってから左上前歯の審美的な修復や、銀歯を部分的に白い詰め物に置き換えるという治療計画を提案し、同意いただきました。
ワイヤー矯正は小さなボタンのような部品を歯の表面に取り付け、そこにワイヤーを通すマルチブラケット装置を利用して歯を動かす治療です。
この治療計画であれば、矯正治療により噛み合わせを整えることで口腔内環境を根本から改善し、将来的なトラブルのリスクを軽減するとともに、審美性も改善できます。
ただし治療は段階的に進める必要があるため、治療期間が長くなる可能性があることも事前にお伝えしています。
【治療の流れ】
①上下の歯にマルチブラケット装置を装着し、歯を適切な位置に少しずつ動かして噛み合わせを改善する
②矯正終了後、左上前歯の欠けている部分にご自身の歯になじむ色味のプラスチック樹脂を直接盛り付けるダイレクトボンディングを行い形を修復する
③笑った際に目立ちやすい下の左右奥歯2本の銀歯を除去し、自然な白さを持つセラミックの詰め物に置き換える
治療終了から15年経過した現在も健康的な歯並びを維持されており、トラブルもなくお過ごしいただいています。
約1,250,000円
【内訳】
ワイヤー矯正、ダイレクトボンディング、セラミックの詰め物2本
その後の経過も問題なく、定期検診に通われています。
・矯正治療中、発音しにくい場合があります
・矯正治療中、装置によってまれに頬の内側が傷つき、口内炎になる場合があります
・歯の移動に伴って、違和感や痛みを感じる場合があります
・セラミックの装着に際し、天然歯を削る必要があります
・ダイレクトボンディングは、広範囲にわたって修復が必要な場合は適用できない可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックやダイレクトボンディングが欠ける可能性があります